2012年10月11日木曜日

第10回国際オーボエコンクール・軽井沢

この3連休は、大賀ホールで3年に1度の国際オーボエコンクールがあるので、息子が
軽井沢へやって来た。ここ2年ほど休んでいるが、彼は大学オケ、OBオケでオーボエの
ファーストを務め、音楽に情熱を傾けてきた人間だ。

私たちもずっとこのコンクールを見たいと思いつつ、別荘時代はなかなか時間が作れなかった。
引っ越してきたことでついに念願かなって、本戦と入賞者および審査員コンサートの
2日間を楽しむことができた。本戦までは入場無料だ。

10月7日(日)、本戦に残った5人の演奏に朝から夕方まで聴き入ってしまった。
もちろん全員がプロとしてすでにオーケストラなどに所属している。
課題は無伴奏の現代曲とオーケストラと演奏するモーツアルトのオーボエ協奏曲の2曲だ。
今回は異例のことに、日本人の女性が2人も含まれている。
20歳の韓国人の音楽性豊かで独創的な演奏に度肝を抜かれ、フランス・スウェーデン
国籍のハリー・ポッター的容貌の持ち主のまっすぐに飛んでくる透明な音にうっとりする。
自分のパートの前後のオーケストラを目をつぶって楽しげに聴いているのもいい。
日本人女性は二人とも存在感のある演奏だった。一人は「のだめメカンタービレ」の
のだめちゃんさながらの聴衆を味方につけてしまうチャーム、もう一人は、若いけれど
もの怖じしない自然でのびやかな音色が素晴らしい。
以前に同じコンクールで3位を受賞しているロシア人は、自信のみえる危なげない演奏だった。

1曲目と2曲目で、得意不得意がどうしても現れるが、一人ひとりの演奏を聴きながら、
だんだんその人間的な魅力にまで触れる気がして、ぐいぐいと心が引き寄せられていく。
私には技術の良し悪しはあまりわからないけれど、とにかく、若い全身全霊の演奏という
のがたまらなく素晴らしい。

聴衆の投票で、私は日本人の若い女性の番号を書いてきた。堂々とした演奏だったから。
結果は、家に帰ってから当コンクールを主催しているソニー・ミュージック・ファウンデーション
によるインターネットの動画配信で見た。

あのハリー・ポッター君ことオリヴィエ・スタンキエーヴィチが見事に1位を受賞。
見るからに礼儀正しいまっすぐな青年という感じだが、そのインタビューもとても謙虚で、
心があたたかくなる内容だった。演奏も素晴らしかったが、すっかりその人柄が好きになった。
2位に若い日本人の女の子、鈴木亜未、3位にのだめちゃんを思わせる近藤那々子が入った。
奨励賞と聴衆賞は、2位の鈴木亜未がさらった。

翌10月8日(月)は、入賞者3位、2位の演奏、審査員の演奏2曲、そして最後が優勝者
によるオーボエ協奏曲だった。
シェレンベルガー、モーリス・ブルグらの大御所の演奏はそれは素晴らしかったが、
ハリー・ポッター君の演奏はほとばしる若さがあって本当によかった。スター誕生である。
前日の本戦の演奏より緊張していたが、それでもオーケストラと奏でるモーツアルトが
彼の人間性とともに、聴衆の心の奥深くまで届いていたと思う。

昼食の休みには2時間あったので、家に一度帰ることができた。
インターミッションも大賀ホールでは、中庭に出てお茶を飲んだりできるのがいい。
軽井沢のコンサートは、都会とは違う魅力をもっている。


大賀ホールの中庭の前に広がる池



















息子は会場で大学オケの後輩とばったり出会って、一緒にトンボの湯に寄って帰った。

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