結婚と同時に購入した東京都大田区の中古マンションから始まり、板橋区の新築マンション、アメリカペンシルバニア州のタウンハウス2軒、そして現在の川崎市多摩区の新築マンションへと何回も引っ越しをしてきた。そして、初めて戸建を建てたのが、旧軽井沢の山の家だ。
昨年、今回が多分最後になるであろう「終の棲家」を建てようと土地を探しているうちに、中軽井沢の中古住宅に出合った。この家と周辺の環境を見て、新築の計画を中古住宅の全面リフォームに切り替えようと一晩で決心したことになる。
それまでに追分を中心にいくつかの別荘地を見てきたが、なかなかこれと思える土地に出合えないでいた。ひとつには、旧軽井沢の山の家から見る景色があまりに壮大で開けていたから、区画された平坦な四角い土地というものになかなか気持ちがスイッチできなかったせいだろう。山の家からの眺めは、軽井沢の街全体があたかも自分のものであるかのような錯覚を起こさせる気持ちよさだった。
山の家から見た初日の出 |
山の家では、外とも内ともつかない中間ゾーンであるテラスで、自然の風を感じながら朝のコーヒーを飲んだり、夕涼みをしながら星のまたたきを見上げたりするのが、私たち夫婦は何より好きだった。
でも、山の斜面に建つ家では、庭にできる平らな土地もほとんどなく、冬は山道が凍結して危険だし買い物にも便利とは言えず、終の棲家にはふさわしくないことは明らかだった。
結局この山の家は、昨夏、絵にかいたように素敵な若いファミリーがバラのお庭ごと気に入って買ってくださり、やはりこの家からの眺めの虜になって頻繁に通っていると聞いている。
中軽井沢の終の棲家は、実はこの山の家と、川崎の自宅マンションを足して2で割ったような間取りと雰囲気の家になる予定だ。私たちのふたつの家に対する愛着は、こうして新しい家に引き継がれることになる。
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